偏食や少食の子を育てていると、「こんなに食べなくて栄養は大丈夫?」「しっかり食べさせないと、この子の健康が守れない!」という不安な気持ちになってきますよね。食べてもらえる料理を用意できない自分に罪悪感を感じることも。どうしても食べてもらいたい理由の一つは、「栄養が足りていない→成長に悪影響」というお子さんの将来への不安ではないでしょうか。
もちろん、食事でしっかり栄養をとれるのが理想ですが、今食べられない状態のお子さんがしっかり食べられるようになるには、少し時間がかかります。一気に食べられるようになる訳ではないので、少しずつステップアップしていく期間が必要です。
その間、不足しがちな栄養素を補うために、栄養補助製品を使うという方法もあります。
ここから、お子さんに栄養補助を使うときのポイントをご紹介します。
もくじ
どうして栄養補助が助けになるの?
私たちが生きていくのに必要な栄養は、大きく分けると次の3つのタイプがあります。
・エネルギーになるもの
・身体の材料になるもの
・身体の調子を整えるもの
エネルギーになるものは、身体を動かしたり体温をあげたりする炭水化物や脂質(一部たんぱく質も)。身体を作る材料になる、たんぱく質やミネラル(カルシウムなど)。身体の調子を整えるために必須のビタミンやミネラル、そして食物繊維など身体に有用な成分です。
身体を作り動かしていくことは、車を整備し動かすことに似ています。車を動かすエネルギーになるガソリンだけでなく、丈夫な車体を作る材料(たんぱく質・ミネラル)、材料を組み立てる工具や部品をスムーズに動かすための潤滑油のようなビタミンミネラル。
全てがきちんと揃っていることで、丈夫で健康な体でいられるのです。
食べることに難しさを感じるお子さんは、成長や生活に必要な栄養素が足りないことがあります。そのような場合、栄養補助食品の利用を考えてみてはいかがでしょうか。
目が悪いときに使うメガネ、歩けないときに使う松葉杖のように、「食べられない」という状況を助ける補助具の1つとして栄養補助食品があります。
子どもに栄養補助食品を食べさせることに抵抗を感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、実は粉ミルクも栄養補助食品の1つなのです。
どんなとき栄養補助を考える?
「補助」という名前からもわかるように、栄養が足りてない時、足りないのではないかと心配で不安になるときは、使うことを考えてみましょう。お子さんの食べる様子を見ていて、「足りていそうかな」と思えるなら、必ずしも必要なものではありません。
足りているかどうか心配な時は、身長・体重・成長曲線を確認したり、1週間分の食事内容を記録・評価したり、体調を観察して判断していくことになります。
詳しくは、こちらの記事を参考にしてみてください。
栄養を確保していく上での優先順位は、
①エネルギーになったり身体の材料になる栄養素(炭水化物・たんぱく質・脂質)を確保する
②身体の調子を整えるビタミンやミネラル類を確保する
という順番です。
「どこの部分が不足しているか」で、栄養補助食品を使う優先順位が変わってきます。
食事の量が確保できていないお子さんは、まずは①から。量は確保できているけどバランスよく食べられていない子は②を選んでいただくのがおすすめです。
次に、お子さんに使える栄養補助食品の種類を見ていきましょう。
こどもが使える栄養補助食品の種類
栄養補助食品は大きく分けて3つの種類があります。
①身体の材料になるタイプ:エネルギーや身体の材料となる3大栄養素(炭水化物・たんぱく質・脂質)を底上げするもの
②身体の調子を整えるタイプ:微量栄養素(ビタミン、ミネラル)を全体的に底上げをするもの
③特定の栄養素を補うタイプ:トッピングとして特定の微量栄養素をピンポイントで補えるもの
これらのグループを意識して、お子さんの状態に合わせて選んでみましょう。
身体の材料になるタイプ
食事の量がとれなくて、体重が成長曲線を大きく下回ってしまったり、やせ形で疲れやすいお子さんには、エネルギーや体を作る材料を確保することが最優先です。
このタイプの製品は、たんぱく質や脂質など、量を確保する必要があるため、ドリンクタイプやゼリー、固形食といった食品形状であることが多いです。
微量栄養素(ビタミン・ミネラル)のバランスについては、製品によって差があります。
例:乳児用ミルク・カロリーメイト・アイソカル1.0ジュニアなど
※糖分が多い製品もあるため、食べる量やタイミングによっては、食事が進まなくなることもあります。お子さんの様子を見て、食欲が落ちない範囲で調節してみてください。
身体の調子を整えるタイプ
食事の内容に偏りがあったり、食事量が少なかったりする子の栄養バランスを整えてくれます。複数のビタミンやミネラルがバランスよく含まれている製品です。
エネルギーを含まない分、小型の製品にしやすく、子どもが食べやすいようにチュアブルやグミといったお菓子のような形状であることが多いです。
身体の材料になるタイプに比べ、「食欲が落ちない」という特徴があるので、食べる練習をしながら使うにはこちらのタイプがおすすめです。
例:こども栄養バランスmog・海外製のキッズマルチビタミン・ミネラルチュアブルなど
特定の栄養素を補うタイプ
特定の栄養素が不足しがちなときに、その不足分を補うために利用する製品です。
生まれてすぐの赤ちゃんに産院で飲ませているビタミンK2シロップや、母乳栄養で不足しがちなビタミンDなど、栄養素をピンポイントで補うことができます。
食品形状のものから、お菓子のような形状まで、様々なタイプがあります。製品によって栄養素を軽く補うものからしっかり補うものまで差があります。
例:サプリ米・肝油ドロップ・グミ形状やチュアブルのサプリ・栄養強化菓子(ウェハース・ビスケット)・カルシウム強化牛乳・ネスレ ミロ・明治ミラフル・プロテイン飲料など
使うときに気を付けたいこと
製品や量を決める時は、「日本人の食事摂取基準」の推奨量、目安量が基準になります。もう少し簡単に判断する方法としては、複数の製品を利用せずに、「子ども用」として書かれている量を守っていれば、過剰になる心配はありません。
ただ、お菓子のように小さい製品は、お子さんが気に入って食べ過ぎてしまう心配があります。特に小さなお子さんは、保護者が食べる分だけ手渡しするなど食べ過ぎてしまわないように注意してあげましょう。
繰り返しになりますが、「栄養が足りないかもしれない」という心配がなければ、補助食品を無理に使う必要はありません。
ただ、栄養不足が心配で食事の時間がストレスとなってしまっているときは、栄養をサポートする補助具として取り入れてみてください。お子さんの健康や成長に必要な栄養を支えていくことで、ご家族が食べることを焦らずに見守れるようになるかもしれません。
栄養補助のゴールは、人それぞれ
栄養補助は、使い始めたら一生続けなければならないものではありません。
食べられない子の『補助具』として使っていくことで、お子さんや保護者の不安を解消したり、将来的には食事そのものを楽しんだり、食べられる種類が増えたりする可能性があります。そんなときは、補助具は卒業してもOK!
機能的な理由や栄養充足が求められる疾患など、栄養補助を使い続ける必要があるお子さんは、その子の成長や食べる力の発達に応じて製品や量を見直して、上手に付き合っていきましょう。お子さんの状態が安定していたり、ご家族が安心できる状況が続くことも1つの目標になるといいですね。
栄養をサポートしながら、安心して小さなステップを重ねていきましょう。
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