子どもが食べてくれないことは、親にとって大きな悩みです。最初は、工夫すれば乗り越えられるだろうと試行錯誤するものの、何をしても上手くいかないと心が折れそうになりますよね。
それもそのはず、日本では、「食べ物は生きていくために必要なものだから、食べない子なんているわけない」「食べないのは親のしつけや料理が悪いから」とされてきました。私たち親も、作った料理が食べてもらえないと、自分が悪いような感覚に陥りがちです。
ところが、ここ数年で、少し変化が起きてきました。平成30年(2018年)4月から小児期の「食べる機能」の発達がうまくできていない子(口腔機能発達不全症)が、医療保険で治療を受けられるようになりました(※歯科で診断を受け、対象と判断された場合)。また、同じく2017年くらいから、発達障害による敏感さから強い偏食になってしまうことがあるということも、テレビで紹介されるようになりました。
このように、食べない・食べられない子もいて、サポートが必要な場合があることは、少しずつ知られてきています。でも、まだそれをサポートしてくれる施設や先生方は少なく、保育や育児相談に関わる方でも、まだ知らないない場合もあります
子どもたちが食べてくれなくなるタイミングも様々です。 母乳やミルクのときから飲めない・飲んでくれない子や、離乳食のスタートがうまくいかない子、離乳食完了期~2歳くらいから食べなくなく子などがいます。
中でも、離乳食の完了期~2歳くらいのお子さんは、感覚が育ち自分の好みがわかってきたり、意思表示ができるようになったことで、食べることを嫌がるのこともあります。これは、持病や障害がない健康なお子さんでもよくある「食べなくなるタイミング」です。ほとんどの場合は、ご家庭や保育施設で無理強いせずに楽しく食事をするなかで、ゆっくり改善していきます。
でも、中には食べるためのサポートが必要な子もいます。たとえば、好き嫌いだと思っていたら、「アレルギーでのどがイガイガするから食べたがらなかった」。空腹感を感じないなど、親が想像していないようなことが原因のこともあります。
小さなお子さんは、自分の状況をうまく伝えることができません。だからこそ、「わがまま」と片付けずに、一緒に原因を見つけてあげてください。
最初から「これが原因」とわかることは少なく、複数の理由が重なっていることもあります。原因を見つけるためには、これから紹介するような色々な理由を、お子さんの様子を観察しながら一つ一つ潰していくように探っていくことになります。
もくじ
食べない理由にはどんなものがあるのでしょう?
うまく飲み込みめない
乳児の時から母乳やミルクがうまく飲めないこともあります。また、離乳食に移行してからうまくできない子もいます。うまく飲み込めないために、いつまでも口に貯めてしまうこともあります。
舌がうまく使えない
舌を使って押しつぶす動作は、離乳食中期レベルの食事でおぼえます。舌がきちんと使えないと、うまくかみ潰すことができません。
うまく噛みつぶせない
うまく噛み潰せず、食べ物を吐き出したり、大きな塊のまま丸飲みしてして吐き戻してしまうことも。食事がお子さんの噛む力に合っていない場合もあります。たとえば、薄い葉物野菜は子供にとって噛みづらい食材です。
姿勢が維持できない
体幹がしっかりとしていないことで、食事のために座り続けることがつらく、落ち着いて食べられないこともあります。椅子やテーブルを調整することで座りやすくなります。また、体の緊張が強い場合は、座位保持椅子で緊張せず食べやすい姿勢を取ると良い事があります。
感覚が敏感・過敏
体幹がしっかりとしていないことで 食べるためには、味覚だけでなく、視覚・嗅覚・触覚・聴覚など、全ての感覚を使っています。感覚が敏感なことで、食べ物の刺激(色・形・におい・温度・舌ざわり・歯ざわり)を不快と感じることがあります。歯が生えかかっている時や抜け替わる時も、痛みや食べづらさを感じます。
また、おもちゃやまわりの音で食事に集中できないこともあります。
不安が強い
子どもにとって初めての食べ物は、未知との遭遇と同じです。不安より、好奇心や食欲が勝る子もいますが、不安を感じやすい子にとっては、口に入れること自体、かなり勇気を要します。
食物アレルギー
食物アレルギーは、目に見える反応だけではありません。食べた時に口や喉がチクチクしたり、食べづらさを感じることもあります。
食事中に強要される
たくさん・はやく・汚さず…食べることを強要されると、緊張で飲み込みづらく、胃の動きも悪くなります。食べる時の声掛けのしかたによって食べづらくなることもあります。
おなかが空かない
おやつが多い、体調が悪い、基礎代謝エネルギーが少ない、消化能力が低い、ストレス度が高いなど、理由は様々ですが、空腹感が薄い~ないことで食べられないこともあります。
食べられない色々な理由、いかがでしたか。
食べられない理由は、お子さんによって様々です。もしかしたら、ここで紹介した以外の理由があるのかもしれません。まずは、食べる様子を観察することで、「これかもしれない」という可能性を探ってみましょう。
ただ、ご家族だけで解決が難しいきや、成長や体調への影響が出てきているようなら、かかりつけの先生や、はぐもぐで紹介している医療機関・療育機関へ相談してみてください。