ご飯の時間に声をかけても食卓に来ない。食べ始めても、すぐに「おなかいっぱい」と言われてしまう。こんな日が続くと、ちゃんと大きくなれるの?と心配になってしまいますよね。
編集長小浦も、息子の少食にかなり思い悩みました。
少食にもいくつかタイプがあるので、まずは、うちの子どのタイプかな?と観察してみましょう。
もくじ
小食のタイプ(体質編)
元々小柄で、食も細いタイプ
生まれた時の体重が小さいお子さん(低出生体重児さん)や、成長ホルモン分泌不全など、年齢に対して体の成長がゆっくなタイプ。
同年代の他の子より小さいと、「いっぱい食べて追いつかないと!」と考えがちですが、体が小さい分、受け入れられる食べ物の量も少なめ。食べることに興味がなかったり、ごく稀に空腹感を感じない子もいるようです。
燃費がいいタイプ
車によって同じ量の燃料で走れる距離が違うように、体を維持するために必要なエネルギーの量も個人差があります。沢山食べないとパワーが出ない子もいれば、少し食べただけで生活するのに十分な量が確保できる子も。両親から受け継いだ遺伝的な体質の場合もありますし、発達障害のお子さんなどは、体を維持するのに必要なエネルギー量が少ない傾向にあることもわかってきています。
消化能力や食べる力が低いタイプ
胃や腸での消化液が少なめだったりすると、消化されるのもゆっくりで空腹感を感じにくいことも。大人も、体の調子が悪いときに胃が重い感じやお腹が空かない時がありますよね。また、離乳期は母乳やミルクを飲むという動きから、噛みくだいて飲み込むという食べ方に移っていきます。食べ方がうまく習得できないと、少食や偏食の原因になることがあります。食べることにすごく時間がかかったり、細かくできないまま飲み込んでしまったり、誤った食べ方を覚えてしまうこともあります。食べ物を細かくしないまま飲み込んでしまうと、消化に時間がかかったり(お腹が空かない)、お腹を下しやすくなったりすることもあります。
小食のタイプ(生活習慣編)
運動量が少なく消費量が少ない
コロナの影響もあり、ここ数年、子どもたちの屋外での活動量がかなり減っているようです。それ以前でも、運動量が少ないことで消費されるエネルギーが少なく、お腹が空かないために食欲が湧かないことがあります。
高カロリーや消化に時間がかかるメニュー
少ししか食べないから栄養が多いものを食べさせよう…とした結果、消化に時間がかかったり、少量で必要なエネルギーが満たされてしまってそれ以上食べられないということもあります。
ほんの少しのおやつで、夕食が食べられなくなってしまう子もいたりします。
少食と似てるけど少し違う「食べムラ」
食べムラと少食の違いは、食べる量が日によって少ないのか、常に少ないのかです。お子さんの食事の内容や量を1週間くらい書き出してみて、ムラはありつつもトータルで必要な量をカバーできていたら食べムラ。トータルの量が少ないのが少食です。
大人でもお腹が空いているときや、食欲が湧かない時がありますよね。でも、大人は先のことを考えて、「今食べておいた方がいいな」とか、「これくらいにしておこう」という調整をします。子どもたちはその調整がまだできず、今の自分の身体が求める量を食べています。
栄養のことや次の食事までの間隔などを考えて食べ方を調節できるようになるのは、10歳過ぎてからと言われています。食べムラの場合、必要な量は確保できているので、波があることはあまり気にせず見守ってあげて大丈夫です。「あと少しで夕飯だから、夕方のおやつは少なめにしておこうね」など、「どう考えたらよいか」は生活の中で少しずつ伝えていきましょう。
どのくらい食べられたらOKなの?
最後に、「親が食べてほしいと思っている量」が適切かどうかも一度確認しておいてください。一緒に暮らしている家族の体格が大柄だったり、力仕事やハードなスポーツをしていると、子供に対しても「食べる量の期待値」が高くなってしまっているかもしれません。
どのくらい食べられたら大丈夫なのか?は、体質や運動量による個人差がありますが、まずは日常生活を問題なくおくれているか(疲れやすさはないか)。そして、成長曲線に沿って身長体重が伸びてきていたら、最低限のエネルギーは確保できているので安心してください。心配な時は、こちらの記事を参考にチェックしてみましょう。
食べられる日が来るまで、食事が苦痛にならないために。
食べる機能に問題がある少食の場合、食べ方の練習をしていくことで上手に食べられるようになっていきます。また、そのほかの理由の場合も、成長していく中で、徐々に食べられる量は増えていくでしょう。
食べることができない身体に、食べることを強要されてしまうと、とてもつらいものです。そうすると、お子さんにとって食べることが「強要される嫌なもの」になってしまうこともあります。問題となっている部分を取り除いた後、ご家庭では、お子さん自身が食べたくなるタイミングを迎えるまで、食べることを嫌いにさせない・食べることに劣等感を持たせないことを目標に取り組みましょう。
でも、親が考える「その年齢での平均的な量」に追いつくのには、数年、場合によっては10代の成長期を迎えるくらいまで時間がかかることもあります。栄養不足のサインがなければ、そのまま見守って大丈夫ですが、栄養不足の心配があるようなときは、病院に相談したり、不足しがちな栄養素を補ってあげてください。