偏食・少食の子の親として、どうしても気になるのは栄養のこと。
「こんなに食べないと、栄養が足りなくなるんじゃない?」という不安が付きまといます。その心配や不安が、食べさせようと焦ってしまったり、食べてくれないことにイライラしてしまう原因になっていませんか?
漠然と心配していると、不安は膨らむ一方です。
まずは、お子さんの状況をしっかり確認して、「本当に栄養不足を心配する必要があるのか?もう少し見守って大丈夫そうか」を考えてみましょう。
ここでは、栄養が足りているかどうかを判断するための、3つのチェックポイントをご紹介します。
もくじ
身長・体重・成長曲線を確認する
成長曲線のグラフで大切なポイント
日本では、どのお子さんも生まれた時から身長体重を測定していますよね。
それを成長曲線のグラフに書き込むと、平均値に対してどのくらい大柄か小柄かが見えてきます。平均以上の場合、あまり心配されないかもしれませんが、小柄な場合、親としてはなんとか平均に追い付かせなければ!と焦ってしまいがちです。
でも、実は平均値に対してどの位置にいるかよりももっと大切なポイントがあるのです。それは、その子の生まれてから今までの成長曲線のカーブが、「止まってしまったり、平均から離れていっていないか」ということです。
最初から平均より小さかった子が、平均より小さいまま成長することは、「その子にとっては標準的な成長ができている」と考えられます。これを、いっぱい食べさせて追いつかせようとすることは、その子にとっては食べられる量以上のものを強要されることにもなりかねません。
一方で、平均値からの差の範囲が、急に開いてしまっている時は注意が必要です。何らかの理由で、成長のスピードが落ちてしまっているサインです。とはいえ、お子さんの身長や体重は、測定するときの誤差が大きいものです。1回だけ大きく外れてしまったからとといってすぐに心配する必要はありません。2-6カ月あけて再度測定してみましょう。
平均に対して大きい小さいではなく、半年~1年単位でみて成長曲線のカーブが落ちてきていないか?という点を見てあげてください。これまで通りのペースで成長できていたら、ひとまず安心です。
1週間分の食事内容を記録・評価する
判断材料として食事内容の記録が大切
栄養士さんに相談する場合、判断材料として食事内容の記録が大切になってきます。
1週間分の記録を付けてみると、野菜を食べないという子でも果物や芋類・豆類を食べていたり、お肉を食べないという子でも卵や納豆を食べていたり…と、代わりの食材で必要な栄養は確保できていることがわかったりします。
状況を確認するためにも、食べた時間・食べたもの・食べた量の記録を1週間分くらい付けてみましょう。配膳した状態と食後の写真でもOKです。おやつも給食も全部含めて記録してくださいね。少食や食事量にムラがあるように見える子も、1週間単位で見ると必要なカロリーがとれていたりします。
把握しやすく調整もしやすい期間は1週間
日本人の食事摂取基準で定められているカロリーや栄養素の必要量は、本当は1食や1日単位ではなく、2-3カ月の平均値の目標として数字が出されています。とはいえ、月単位で記録していくのは大変なので、まずは1週間くらいが把握しやすく調整もしやすい期間だと思います。
書き出してみて、「1週間でこれくらい食べられていたら大丈夫」と思えたなら、ひとまずOKです。ママやパパでの判断が難しいなら、幼児の食事・栄養に詳しい栄養士さんに内容をチェックしてもらいましょう。
体調・様子を観察する
最後に、お子さんの体調や様子を観察してみましょう。
こんなサインは注意
注意が必要なのは、栄養不足の可能性があるサインがあらわれている場合です。
- 口内炎がおこりやすい
- 極端に疲れやすい
- 慢性的に肌荒れがおこっている
この他に、吐いてしまう、便秘や下痢が続くなど、体調や生活面で気になることがあれば、注意が必要です。ただ、これらのサインがあるからと言って、必ず栄養不足というわけではありません。栄養不足やほかの病気の可能性もあるので、一度医療機関に相談してみてください。
この他に、お子さんの爪が割れやすくて栄養不足を心配する方もいらっしゃいます。大人の場合、栄養が不足すると爪が割れやすくなりますが、子どもの爪は大人に比べて薄く、健康なお子さんでも割れやすいものです。なので、10歳くらいまでは、お子さんの爪が割れやすくても、すぐに栄養不足のサインととらえなくても大丈夫です。
栄養不足が心配な時の3つのチェックポイント、いかがでしたか。
どの項目にも当てはまらないなら、今のところ栄養不足が起こっている可能性は、とても少ないです。多少のアンバランスさはあるかもしれませんが、健康や成長に影響が出るほど深刻ではないので、少し安心して見守ってあげてください。
いくつかの項目があてはまる時は、栄養が不足気味なのかもしれません。少し助けが必要な状況ですので、食べることを診てくれる病院などで相談してみてください。
病院で治療に必要と判断されれば、鉄剤やビタミン剤が処方される場合があります(その場合は、栄養剤の代金は医療保険でカバーされます)。
また、カロリーも十分とれていない場合は、食事後にドリンクタイプの栄養剤を加えたり、鼻から通した管で胃に栄養剤を届けたり(経鼻栄養)、長期的に食べるのが難しい時は胃に小さな穴をあけて直接栄養を届ける(胃ろう)方法がとられたりもします。
栄養不足のサインは出ているものの、病院での治療対象にはならないときは、ご家庭での判断になります。食事の改善は、数日で結果が出るものではありません。お子さんの成長を支えながら、食べられるようになるのを焦らず待ってあげるための補助アイテムとして、栄養補給ができる製品を使うという方法もあります。
なんとなく栄養が不足していそうだから…という理由で周りが焦ってしまうと、お子さんはプレッシャーを感じて、余計食べづらくなります。食卓が食べやすい雰囲気でいられるためにも、「適切に心配する」「必要以上の心配はしない」を心がけたいですね。